リンタールに残ろう。
ずっとカナトと一緒にいたい。

そう思って、覚悟も固まってきてたのに。

その覚悟が、いとも簡単に大きく揺さぶられる。

「神楽弥。

ここに残るって言ってくれるなら、僕は、僕の人生をかけて必ず君を幸せにする。

でも、君が元の世界に戻ることを選んでも、僕は君の幸せを願ってる」

思いの溢れるその言葉に、ポタポタと涙が床に落ちる。

この部屋で目を覚ました日から今までのことが思い出される。

リンタールを救うなんて訳のわからないことを言われて、でもだんだん興味がわいてきて、カナトに色んな話を聞いた。
町に出て歌も歌ったし、たくさんの笑顔に出会えた。

そして、愛を知った。

初めて、誰かといたいと思った。

でもここは、本来私のいるべき世界じゃないんだ。

私の大事な居場所に違いないけど、いるべきではない。

私が生きる道は、私のいた世界。