君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。

ドルツ城を出ると、もう外には朝靄がかかっていた。

カナトとシンにお礼を言おうと思ったけど、カナトはさっさと馬車に乗ってしまった。

「シン、ありがとう」

「…。

俺は、神楽弥にお礼を言ってもらえる立場じゃありませんよ。
俺が付いていたのに、こんなことになって」

シンは俯いたまま、全く顔をあげようとしない。

それ以上は何も言うな。
近づくなって言われてるみたい。

でもそんなの、察してあげない。

「私は、二人が助けに来てくれるのを待ってたよ。
私が拐われたこと、シンがちゃんと気づいてくれるって信じてた。

だから、助けに来てくれてありがとう」

伝わったのか、シンはゆっくり頷いた。

ようやく、敵を斬るための目から、いつもの目に落ち着いていく。