君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。


力任せに振ったナツキ王子の剣がカナトの頬をかすめ、体勢を崩される。
不気味に口角を上げた笑みが、目に飛び込んできた。

…危ない!
とどめの一振りがナツキ王子から放たれる。

「っ!」

迫る剣先に思わず目を伏せる。

だが、すぐにキンという高い音が空気を切り裂いた。

え…?
何が起きたの?

目を上げると、剣をはじかれ無防備になったナツキ王子がいた。
さらにその喉元には、カナトの構える剣が突き付けられている。

真っすぐに向けられたその剣先に意識が集中する。

そんな状態になっても、ナツキ王子は睨みつけるのをやめない。

「なんだよ。さっさと刺せばいいだろ」

…カナト。
剣を握る手に、力が籠ったのが見えた。

次の瞬間、ゆっくりと剣は仕舞われた。

「二度とリンタールに危害を加えるな。

そう誓うなら、今回のことは目を瞑る。
許すつもりはないが、一つ貸しだ」

その言葉に、一気に緊張が解ける。

よかった。
ちゃんと、平和的解決を望むカナトだ。

きっとこの場で一番ほっとしているのは私に違いない。