本当に、助けに来てくれたんだ…。
その姿に、長い間会ってなかったかのような愛しさがこみ上げる。

「カナト…って、あ!」

ツカツカとナツキ王子に近づくと、思いっきり殴り飛ばした。

数メートル転がったナツキ王子は、痛そうにしてるけど、何とか身体を起こしてる。

「ナツキ王子、自分のやったことがわかっているのか?
その剣を取れ!」

見たことがないくらいの怒り。
いつもの優しさからは想像できない威圧感。

「温厚と名高いリンタールの王子でも、そうやって怒りに震えることがあるんだな。

それもそうか。
心に決めた相手が、こうやって別の男と、一晩共に過ごしてた訳だからな」

な、なんでナツキ王子は
わざとカナトを怒らせるようなことを言ってるの?

剣を向け合い、真剣な眼差しのカナトと、不敵な笑みを浮かべているナツキ王子。

…これって、どうなったら決着がつくの?
まさか、本当に斬り合うなんてこと…。