本気で叩いてきやがった。

まさか俺の頬を平手打ちしてくるとは。
命が惜しくないのか?

「ナツキ王子!
頬が赤くなってます。
どうかしましたか!?
まさか、あの女が?」

すれ違ったリンタールの元隊長が焦ってる。
さっきまで俺は神楽弥と共にいたんだし、誰の仕業かなんて一目瞭然か。

「今すぐ私があの女を」

「その必要はない。
こっちで十分対処した」

「そ、そうですか。
出過ぎた真似をいたしました。
失礼します」

元隊長は廊下の奥へ進んでいく。

なんで嘘をついた?
どう考えたってそんな必要ないだろ。

それどころか、神楽弥への罰を命じるくらいするのがいつもの俺だ。

まさか、庇ったのか?

意味がわからない。