「う…」

目を覚ますと、そこは真っ暗だった。

目が慣れてきてぼんやりと壁や床が見えてくるけど、全く知らない場所。
横たわってるベッドも、今朝寝起きしたものではない。

私…、どうしたんだろう。

体を起こすと、頭がくらくらする。

あ。
そういえば、あの時…。

うっすらと記憶が蘇ってくる。

シンが喧嘩を上手く仲裁したのを見てほっとした時、
急に背後に気配を感じたんだ。

そして振り返ろうとしたけど、阻まれた。

「んっ…!」

背後から何者かにガーゼのようなものを口に押し当てられる。

暴れる隙も、声をあげる隙もなかった。

まずい。
意識が遠退いていく。

あ…、駄目だ。

カナト。
シン。

…ごめんなさい。