「王子、緊急の連絡です。
西の国境付近で暴動が起きているとのことです。
至急、城にお戻りください」

その報告を聞いて、カナトとシンの顔付きが変わる。

「暴動か。わかった。
城には戻らず直接西の国境へ向かう」

暴動?
こんなときに?

しかも、暴動の現場に行くなんて、危険すぎない?

「シン、神楽弥を頼む。

神楽弥、帰ったら話したいことがある。
待っててくれ」

「え…、う、うん。
気を付けて」

「あぁ」

そこには言葉にしがたい緊張感が張り詰めていた。

私が願うのは、カナトが無事に帰ってくること。
というか、願うことくらいしかできない。