「ごめん、起こした?」

「ううん、今寝ようとしてたところ」

そう言って布団にもぐる。

マリア姫とどんな話をしたの?
婚約してること、どうして教えてくれなかったの?

聞きたいことを全部心の奥にしまいこんで、目を閉じる。

じわりと溢れてきた涙がシーツを濡らす。
どうにもならない不安に、ただただ押し潰されそう。

カナトのこと、疑いたくなんてないよ。

聞いたら教えてくれるのかな?

でも聞くのが怖い。
だったら知らないままでいい。

知らないままだったら、きっと今まで通りでいられるはずだから。