君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。

はぁ。

ただでさえ落ち込んでいた私は、ナツキ王子の言葉に更に奥底へと突き落とされていく。

「ナツキ王子、失礼を承知でお聞きします。

さっきの夕食会の時、カナト王子に何を言ったんですか?
あんなに声を荒げるなんて、カナト王子らしくない」

「…」

沈黙。

余計なこと聞いちゃったかな?

考えてみたら、城で働いてる大勢の中のうちの一人が、他王国の王子に話しかけるなんてあり得ない。
無礼にも程がある。

ただでさえこのナツキ王子は、難しい人だというのに。