ベルは2回鳴らしただけで、いま聞こえるのは私の名前だけ。





「あい!」




何度も呼ばれる私の名前。




それから、「ごめん」と何度も。





まだ、外へは出てあげない。



もっと呼んでほしいから。




意地悪だなぁ、私。




絶対、いまの先輩変な人だ。



先輩、私がこんな近くにいるの知らないでしょ。



小さな穴を覗けば必死な顔して言う先輩が見えてるんだよ?





その姿に胸が熱くなって、やっぱり大好きだなって思った。





ゆっくりドアを開けた。