「……ほら、やっぱり」

 「わっ……!」

 誰もいないと思っていた教室で後ろから聞こえた声に、勢いよく振り返る。
 すると、教室の扉のところに、鞄を肩にかけたまま立っている功太君がいた。

 「まっ、まだいたの……!?」

 「……うん」

 「今のっ、別に何でもないからね」

 功太君の心配そうな顔が、さらに険しくなるのがわかる。

 「その顔、大丈夫じゃないでしょ。……歪んでる」

 功太君の言葉に、私は俯く。
 自信のなさげな自分の足が視界に入る。

 「……みっともないよね、こんなん。しかも隣の席の人に見られるなんて」