「ーっ、柚希ぃー!!」

「はっ、はいぃー!!」


 突然の怒鳴り声に心臓が飛び跳ね、慌ててガバッと起き上がった。

 な、な、何々? 何事?

 何がなんだかわからずキョロキョロ。

 するとそばには、


「ひぃ!」


 オニのように目をつり上がらせたお母さんが!


「こわ……ていうか、ビックリさせないでよぉ」

「ビックリさせないと事の重大さがわからないでしょ! 今何時だと思ってんの! もう出ないと遅刻するわよっ!」

「うそっ! もうそんな時間!?」


 あ、ホントだ! あと10分で出ないと、電車に間に合わない!


「たくっ……なかなか起きてこないと思ったら、紙くずに埋もれて寝てるし! あんた一晩中何やってたのよ!」

「そ、それはっ」


『ラブレターを書いてました』って言ったら、余計に怒りを倍増させる。お母さんせっかちだから『そんなことで一晩もかかってんじゃないわよ!』てな感じで。


「もういいから、早く着替えなさいっ!」

「は、はいぃー!」

「それと、帰ってきたら部屋掃除しなさいよっ! いいわねっ!」

「は、はいぃー!」


 オニ恐ーいお母さんに怯えながら、私は猛ダッシュで学校へ行く準備をした。じゃないと、殺されそう。