――それから数時間後。


 持っていたペンが手から自然と離れて、コロンとテーブルの上に転がった。


「で……出来た……」


 やっと完成した。私のラブレター。


 なかなか納得のいく物が書けなくて、あぁでもない、こうでもないと何回も何回も書き直し、そして今、ようやく完成することが出来た。

 気づけば部屋は、丸くクシャクシャにされた便せんの海。書き始めた時は外は真っ暗だったのに、今はカーテンの隙間から朝日が射し込み、スズメが無邪気にチュンチュンと鳴いている。

 春川君へ気持ちを伝えたい……その一心だけで、私は一晩中書き続けてたんだ。ガンバったね、私。


「ふぁああ……あーヤバイ。急に睡魔が襲ってきたぁ……」


 気が抜けた私は、フラァーっと便せんの海の上に倒れ、そのまま眠りに落ちた。