――と、いうわけで、


「結局手渡しなんだ」

「……はい」


 もう、ホントに何やってんだろう私。ラブレター渡すのに二週間もかかっちゃったよー。

 誰もいない屋上にて、私のラブレターはようやく春川君に届いた。

 受け取った春川君はスゴく嬉しそう。

 こんなマヌケな私なのに、優しいな。


「じゃあ、さっそく……」

「っ! キャーッ! ストップストップ!」


ビックリした! 私のいる目の前で読もうとした!

「夏山、何でストップなの?」

「だって、目の前で読まれたら恥ずかしいよ。
 ラブレターは、本人のいないところで読むものでしょう? それがマナーってものでしょう? ……たぶん」

「そんなものなのか? あーあ、やっと読めると思ったのに、夏山のラブレター。な、ちょっとだけでもダメ?」

「ダメダメ! 家に帰ってから読んで!」

「家まで待てない。後で電車で読もっと」

「もっとダメー! 他の人に覗かれたら恥ずかしい!」

「っ、あはは! 夏山って、結構恥ずかしがり屋なんだなー」


 ……キュン。

 そんなイタズラっぽい笑顔が見れるなんて……

 恥ずかしがり屋、バンザイ。


「わかったよ。そんなに恥ずかしいなら、ちゃんと家で読むよ」

「や、約束だよ?」

「はーい……と、見せかけて、やっぱ今読んじゃえ」

「キャー! やだやだやめてぇー!」


 春川君って、結構いじわる! それに、足が速いよー!

 私は、ラブレターを開けようとする春川君をなかなか捕まえられず、しばらくの間屋上でグルグルと追いかけっこをすることに。


 それでも、夏山柚希……最高に幸せであります!