「そんなら借りてもいいよな? 春川」
「あぁ、いいよ。ホイ」
ダッ……
「ダメェーー!!」
「な、夏山!?」
「うおっ! なんだテメェはっ!」
ズングリムックリ男子に渡る寸前で、私は教科書を奪った。
そして、見られないように二人に背を向けて、ラブレターを素早く抜き取った。
「ズングリ……じゃなくてえーと、確か見た目どおりの名前……あ、そうそう! 太井君だ! はい、太井君どうぞ!」
「あ……はぁ、どうも。ていうかお前、今軽く失礼なこと言わなかったか?」
「き、気のせいだよ! それじゃあ、私はこれでっ!」
唖然とする二人をそのままにし、私はダッシュして逃げた。
あ、危なかったぁ……私の大事なラブレターが、危うくズングリムックリな太井君に渡るところだった。
教科書に挟み込み作戦――失敗。


