「和弘、お前綾乃ちゃんと何かあったのか？」
広樹はコーヒーに目を落としながら聞いた。
「…別に。昨日の言い方がきつかったから嫌だったんじゃないの？」
和弘も、特に表情を変えず言った。

「ふーん。」
広樹はそれだけ言うと、コーヒーを口に運んだ。

綾乃は撮影の様子を座って見ていた。
「おはようございます。」
そこへ、柔らかな声と共に三原麻衣子がやってきた。

（－　綺麗な人…。）
綾乃は、大人の女性の魅力あふれた麻衣子に目が釘付けになった。

「和弘、おはよう。」
麻衣子は和弘に声を掛けると、微笑んだ。
「ああ。麻衣子、今日はよろしくな。」
和弘も笑顔を見せた。

（－　あんな笑顔できるんだ。なんてお似合いなんだろ…。）

「あの二人って付き合ってるんだろ？」
「三原麻衣子はぞっこんでいう噂だよ。」
そんなスタッフの噂話が耳に入った。