その後、三輪にも謝り、部屋の戻ると綾乃はベッドに倒れこんだ。

(- 疲れた。)
そっと唇に手をあてて慌てて頭を振ると、バスルームに向かった。

(- ただの気まぐれ。何もなかった。忘れなきゃ。)

綾乃は、熱いシャワーを浴び髪を乾かしてベッドに潜り込むと目を閉じた。
しかし、頭の中はなぜかクリアで、いろいろな事が廻った。
上手く眠ることができなかった。

朝方、ようやく眠りについた気がしたが、すぐに目覚ましがなった。
綾乃が思い体をなんとか起こし、三輪の部屋をノックした。

「おはよ。綾乃ちゃん。あら…。」
三輪は綾乃の顔をみるなり、顔をゆがめた。
その理由は綾乃もわかっており
「…すみません。」

「早く入って。よくマッサージしてあげる。」
三輪の温かい手でゆっくりとマッサージをしてもらい、化粧をしてもらう。
「うん、なんとかいつも通りかしら。」
三輪は頷くと微笑んだ。
「あまり眠れなかったのかしら?」
「三輪さんにはお見通しですね。」
綾乃は悲しそうな笑顔を見せた。

「そんな、顔しないの。笑って。綾乃ちゃんは笑ってた方がかわいいわよ。」
三輪はウィンクをした。
そんな、三輪に綾乃は無理に少し笑った。

「そうよ、その調子。さあ、朝食いきましょ。」