和弘はイラっとし、
「別に…。今もガキだよ。お前は…!」
そう言うと同時に、綾乃の頭をグイっと抱き寄せると、唇を奪った。

(- !!)
綾乃はいきなりの事に、和弘の胸を手で押して逃げようとした。
しかし、和弘のもう一方の手で、両手首を抑えられ、だんだん激しくなるキスに力が抜けていくのを感じた。
和弘の舌が綾乃の舌を絡めとった頃には、綾乃は崩れ落ちるのを何とか抑え和弘のシャツをグッと握った。

「…っん…。ふっ…。」
甘い声が綾乃の口から紡ぎだされた。
その声さえも、抑え込むように和弘は綾乃の口を声ごと塞いだ。

長いキスのあと、崩れ落ちた綾乃に

「みんな心配してる。戻れよ。」
それだけ言うと、和弘は踵を返した。

綾乃は呆然として、しばらく動けなかった。

(- なに、あいつ…。なんの嫌がらせよ…。でも嫌じゃなかった…。)

綾乃は何とか立ち上がると、会場に戻った。

「綾乃ちゃん!」
広樹が走ってきた。
「ヒロさん、すみません。」
綾乃の赤くなった瞳を見て、広樹は少し考えるような仕草を見せたが、
「あまり、心配させないでね。」
綾乃の頭をに手を置くと言った。