恋は突然に 意地悪なあなたの甘い誘惑

綾乃は落ち着かず、窓の外から東京の街を眺めていた。
そして、アコギのギターやを手に取ると、ソファに座りさっきの和弘とアレンジしていた曲を引き出した。

呟くようにメロディーを口ずさみながら。

和弘は宅配ピザを持って戻ってきたところで、動きを止めた。


（ー 正確なピッチと、綺麗な高音。こいつ歌も歌えるのか…。）

綾乃はハッとし歌うのをやめた。

「チビ、食べるだろ？」

和弘はピザを目で見た。

綾乃は頷くとギターを置くと、お茶に手を伸ばしひとくち飲んだ。

「悪かったな。俺、曲創り出すと、周り見えなくなって。家大丈夫か？」

「ああ。うちは大丈夫。たぶん今日も誰も帰ってこないと思うし、帰ってきても問題ないから。一応仕事ってメッセージ入れとくし。」

綾乃はピザを手に取りながら言った。

「まあ、竹田さんいつも忙しそうだもんな。」

和弘も表情を変えずピザを食べながら言った。