恋は突然に 意地悪なあなたの甘い誘惑

「チビ、続きやるぞ。」
その声に、綾乃はピアノに向かった。

時間は20時を過ぎていた。

「腹減ったな…さすがに…それにこんな時間か…。」
和弘は時計をみた。

「うん…。」
綾乃も、譜面を見ながら言った。

「それに、そろそろここからも出ないとな…。次使う予定入ってたし…。チビ、場所変えるぞ。」

「え?どこへ?」

「俺の家の仕事部屋。」
綾乃は流石に躊躇した。
「ガキが変な気まわすよ、仕事だよ。」

(ー そうですよね!どうせあたしなんて女でもないし。)

「おい、携帯だせ、場所送るから。俺はファンの子巻いてから行くから。」

「わかった。」

綾乃は頷くと、携帯を出した。

「じゃあ後でな。着いたら部屋番おして。」

そう言うと、和弘はマスクにサングラスをすると出て言った。

綾乃はひと息つくと、メッセージに書かれた住所を見た。
メッセージをコピーし、地図アプリに貼り付けるとルートを検索した。

(ー 以外に近い。徒歩 10分かからない。)
綾乃はゆっくりと夜の街に出ると携帯を見ながらあるきだした。

(ー なんか変なことになってきたな。)

真っ暗な東京の星のない空を見上げた。