綾乃は少しずつ寒くなってきた10月の東京の街を歩いていた。
久しぶりに清々しい気持ちでいた。何年かぶりにCDショップに立ち寄ると、Grandeurを探した。
それは探すまでもなく、目立つところにコーナー化されていた。
そこには、何人もの女の子がいて、
『ヒロの声サイコ!かっこいし。』
『あたしは、断然カズ!カズの作る曲ってなんかセクシーじゃない?』

そんな声をよそに、一番上にあったアルバムを取るとレジへと向かった。

22時になっても誰もいない真っ暗な家に入ると、地下にある父の仕事部屋に行き、買ってきたCDを大音量で流した。


(- ああ、さっき言ってたセクシーって言葉わかる気がする。やっぱり天才だ。)

綾乃は一通りアルバムを聞き終わると、自分の部屋に戻った。

そして、自分の部屋でイヤホンをすると、聞きながら眠った。