この日の『幸せポイント』は5ポイントほどだった。


あまり記憶にはないけれど、自然といい行いをしていたのだろう。


あたしは帰り際に見た早苗の金色の光を思い出していた。


「わからないって顔してるね」


テンちゃんがあたしのベッドに寝そべってそう言った。


いつもあたしが座っているはずのベッドだが、『一度でいいからベッドに寝転んでみたい』と言って来たテンちゃんに譲ったのだ。


結果、テンちゃんはさっきからうっとりとした表情でベッドに身を沈めている。


天界にはこういう品物はないのかもしれない。


「わからない事があるから、テンちゃん教えてくれる?」


「いいよ、なに?」


そう質問しながらも、決してベッドから体を起こそうとはしない。


その態度に少々腹を立てながらも、あたしは帰り際の話をテンちゃんに聞かせた。


「あぁ。それは蘭ちゃんが素直に早苗ちゃんの事を頼ったからじゃないかな」


「どういうこと?」


「人は人から必要とされることで幸せを感じることもあるんだよ。赤ちゃんがお母さんを求めて泣くのが一番わかりやすいかもね」