「テンちゃんって彼女いないの?」


「か、かか、彼女!?」


テンちゃんの顔は更に赤くなり、動揺しすぎて足をテーブルにぶつけたりしている。


その慌てっぷりにプハッと噴き出してしまった。


こんなに絵に描いたように慌てる人を見たのは初めてだ。


いや、テンちゃんの場合は天使だけれど。


「いないんだ?」


「い、いるわけないだろ? 俺は天使なんだから!」


ブンブンと首を左右にふってそう言うテンちゃん。


「え? 天使って彼女いないの?」


あたしはキョトンとしてそう聞いた。


「い、いないっていうか……その……経験はないよ」


モジモジと口ごもってそう言うテンちゃん。