眠い目を無理やりこじ開けてテンちゃんを睨む。


しかしあたしの睨みが効果を発することなく、テンちゃんはニコニコしている。


そののほほんとした笑顔を見ているとあたしまで毒気を抜かれた気分になり、大きなため息と共に目力をゆるめた。


「テンちゃん、今何時だと思ってる?」


「夜の12時」


テンちゃんは自信満々に即答した。


なるほど。


今の時間はちゃんと把握していたわけだ。


「この時間に人の家に来るっていうのが非常識なのはわかってる?」


天界とこの世のルールは違うものかもしれないと思い、そう質問した。


するとテンちゃんはムッとしたように眉をひそめて、頬を膨らませた。


「蘭ちゃん、俺の事バカにしてる? さすがにそのくらいわかってるよ」


そう言って真っ白な羽をパタパタと動かして見せた。


風が微かにあたしの頬を撫でる。