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家に帰ると両親はまだ帰ってきていなかった。


あたしより先に出かけて、あたしより後に帰って来る。


それが辺り前になっていたけれど、考えてみればそれってすごいことだ。


あたしは手早く着替えをするとベランダへ出て洗濯物を取り込んだ。


少しくらいは家の手伝いをして、役に立つところを見せておかないと。


無理をして体を壊されたら、困るのはあたしだ。


家族3人分の洗濯物を畳んでいると、そこにお母さんが帰って来た。


ついでに夕飯の買い物をしてきたようで、両手には買い物袋が握られている。


「あら、洗濯物を畳んでくれてるの? ありがとう」


そう言ってほほ笑んだお母さん。


その顔が一瞬金色に輝いた。


あたしはハッと息を飲んでお母さんの顔に釘付けになる。


「なに? なにかついてる?」


お母さんはすぐに怪訝そうな表情を浮かべてあたしを見た。


もう、いつもと同じ顔に戻っている。


「……なんでもない」


あたしはそう言い、洗濯物に戻ったのだった。