「あら蘭、今日は早いのね」


焼きたてのパンを口に運ぼうとしていたお母さんがあたしを見てそう言った。


「うん。ちょっと変な夢見ちゃって」


「そう。パン食べる?」


「うん。自分で焼くから大丈夫」


香ばしいパンの香りに食欲がそそられる。


そういえば、夢に出て来た天使は地縛霊は空腹感を感じていると言っていたっけ。


あたしは思い出しながら自分のお腹にそっと触れた。


これがいつまでも続くなんてあたしには耐えられそうにない。


焼けてきた自分のパンを見てあたしのお腹がグゥと悲鳴を上げたのだった。