胸がチクリと痛む。


あたしなんがいなくなっても、この人たちはきっと泣くんだろうな。


こんな、どうしようもない娘を宝物のように扱ってくれていた人たち。


この世にたった2人しかいない、あたしの家族。


ごめんね……。


そう思った瞬間。


早苗の顔が見えた。


早苗は驚いた顔をしてあたしを見ている。


え?


これも走馬灯?


そう思うや否や、ボンッ! と音を立ててあたしの体は地面に着地した。


落下の衝撃で体がビリビリとしびれる。


でも、痛みは、ない。


「ら、蘭!?」


早苗の声が聞こえて来てあたしはハッと目を開けた。


空が見える。


視界の端には心配そうな顔をしている早苗と久志の顔がある。


そしてあたしが今落下してきた化学室の窓も見えていた。