久志の顔がみるみるうちに青ざめて行く。


久志の親は久志の身になにが起きているのか、最初から知っていたのだ。


「それで俺に久志の様子を気にかけていてほしいって言われてたんだ」


男子生徒の話を聞くと、久志は脱力したように大きな息を吐き出した。


「久志のお父さんは全部知ってたんだね……」


久志の肩に手を置き、早苗が言う。


「知っていて、黙っててくれたんだね。久志が1人で立ち迎えるように」


「そ……んな……」


久志が小さな声でそう言い、両手で顔を覆った。


肩が小刻みに震えている。


「久志は最初から1人ぼっちなんかじゃなかったんだね」


あたしはそう言い、久志の背中をさすったのだった。