翌日。


教室内であたしと久志と早苗の周りには沢山の生徒たちが集まってきていた。


「久志、お前って結構おもしろい奴だったんだな」


「蘭も、案外表情豊かなんだねぇ」


「2人とも、もっととっつきにくい性格なのかと思ってたよねぇ」


そんな事を言われながら、ワイワイガヤガヤと楽しい時間を過ごしていると、美鈴たちが登校してきた。


その瞬間、教室の中が静かになる。


昨日と同じように、美鈴たちを射抜くような視線があちこちから飛んでいることに気が付いた。


「お前ら、久志に金を返せよ」


教室内のどこからか、そんな声が聞こえて来てハッとした。


いつの間にそんな事までバレていたのだろう?


久志と早苗も驚いた顔をしているから、当人たちはなにも話していないはずだ。


「はぁ? なんのことだよ」


正樹が相手を睨み付けてそう返事をした。


「しらばっくれるなよ? 俺の親父は久志の親父と一緒に働いてるんだ」


その言葉に、久志が「えっ」と、小さく声を上げた。


何も知らなかったようだ。


「久志の親父さん、久志がお前らから金を奪われてる事を知ってたんだよ。


いくら小遣いを渡しても足りないみたいで、不思議に思った親父さんがこっそり様子を確認したんだとよ。お前らが久志に暴力をふるって金を奪っているところを見たって言ってた」