「後悔先たたず」


突然そう言ったのは、いうまでもなくテンちゃんだった。


ベッドに寝転んで天井を見ていたあたしは首を曲げて部屋の中央にいるテンちゃんを見た。


もう24時になっていたらしい。


上半身を起こすと、蹴られたわき腹に痛みが走った。


両親はあたしの姿を見てとても心配してくれたけれど、詳細は聞いてこなかった。


イジメられているということを知っているからだろう。


「あたしの心を読んだの?」


「ううん。だけど、あれだけため息を出していたら誰だってわかるよ?」


テンちゃんは綺麗な顔で笑った。


「そっか」


あたしは頷き、そしてまた「はぁ」と、ため息を吐き出した。


「怪我が痛む?」


「うん、それもあるけど……」


「こっちの方が痛いのかな?」