「それでもすごいよ久志は。ヒーローだよ!」


そう、紛れもなく久志はヒーローだった。


あたしと早苗を守ってくれるヒーロー。


そこに恥じるものなんて、なにもない。


「だけど、僕がここまでできたのは2人のお蔭だよ。特に蘭、本当に感謝してる」


そう言われると、あたしの頬に大粒の涙が流れおちて行った。


「あたしなんて……なにも……」


声が震えてうまく伝える事ができない。


あたしなんてただの偽善で。


人に嫌われることが嫌で何もできなくなって。


その上毎日に嫌気がさして、自殺までして……。


とんでもなく臆病者だ。


「そんなことないよ。蘭はすごいよ」


早苗がそう言い、あたしの手を握りしめてくれた。