「蘭、よくやったな」


ナナちゃんに手を振って見送っていると、後ろからそう声をかけられてハッと振り向いた。


そこにはお父さんとお母さんが並んで立っていて、その手にはすでに買い物が終えられた袋が持たれていた。


ナナちゃんの事で一生懸命になってしまって、2人との買い物をすっかり忘れてしまっていた!!


「ご、ごめんお父さん! あたし、買い物の途中だったのに!」


「そんなの気にする必要はないよ。蘭はあの小さな子を助けてあげたんだ。立派だったぞ」


そう言い、ゴツゴツとした大きな手で頭を撫でられた。


お父さんに頭を撫でられるなんて、一体何年ぶりだろうか。


驚いて瞬きを繰り返すと、お父さんは少し気まずそうに手を離した。


嫌がられたと勘違いされてしまったかもしれない。


「蘭は昔からよういう子だったわよね」