あたしは答える事ができず喉に言葉を詰まらせたままだった。


それはお母さんの質問に対して肯定しているのと同じ意味を持っていた。


「自分のしたことを後悔してる?」


ふっと肩の力を抜くように、表情を柔らかくしてお母さんがそう聞いて来た。


あたしはブンブンと左右に首を振った。


後悔はしていない。


これから先の不安は強いけれど、それでも久志が前進できたことが本当にうれしかった。


「それなら、大丈夫」


お母さんがそう言い、あたしの背中に両腕を回した。


ギュッと抱きしめられて、背中をトントンとたたかれる。


こんな風にあやされるなんて一体何年ぶりだろう?


あたしは両腕をお母さんの背中に回し、ギュッと目を閉じた。


ジワリと目の奥が熱くなり、鼻の奥にツンとした刺激を感じる。


目を閉じたままでも、涙が頬を流れて行く。