家に戻ったあたしは終始おちつかなかった。


今から両親にイジメを告白するのだと思うと、緊張してしまう。


洗濯物を取り込んでリビングに戻ってきたお母さんを見た瞬間、ビクリと体が跳ねてしまった。


「なによ、そんなにビクビクして」


お母さんが洗濯物を畳みながら怪訝そうな顔をしている。


「お、お母さん。あたし、話があるって言ったでしょ?」


あたしはお母さんと向き合う形で座り、洗濯物を畳む手伝いをしながら切り出した。


緊張することはさっさと終わらせてしまいたい。


「そういえばそんなことも言ってたわね」


お母さんは手を止めずに返事をする。


だからあたしも、手を止めずに話を続けることにした。


「あのね。あたしのクラスに結構ひどいイジメがあるの」


そう言うと、お母さんが少しだけこちらへ視線を向けたのがわかった。


あたしは洗濯物に視線を落としたまま続ける。


「クラスの男子が1人、毎日殴られたり蹴られたりして、お金を取られてたの」


お母さんは口を挟まずに黙って聞いてくれている。


あたしは少し間を置いて、息を吸い込んだ。


「あたし見ていられなくて、助けに入った」