あたしが久志に言ったのと同じような言葉だったけれど、それが自分に降りかかると困ってしまう。


「……言えないよね。自分がイジメられてるなんてさ」


あたしは小さく言い、俯いた。


「どうして?」


「勇気がないよ。周りのみんなを巻き込んじゃうのがわかってるし」


「蘭ちゃんは、もう死んでいるのに?」


そう言われてあたしは顔を上げた。


久志を助けた時も、テンちゃんに同じ事を言われた気がする。


あたしはもう死んでいるんだ。


だからこそできることがある。


「でも……」


言いかけて、やめた。


「そうだね。頑張ってみる」


あたしがそう言うと、テンちゃんは天使のような笑顔で頷いたのだった。