「ゼロポイント」


テンちゃんからの冷たい声が聞こえて来て、あたしはため息を吐き出した。


今日こそはゼロポイントだと思っていたけれど、実際にそれを聞かされると思った以上に辛かった。


「そうだよねぇ……」


あたしはカードを受け取ってまたため息。


「でもまぁ、こんな日もあっていいと思うよ」


テンちゃんは気を取り直すように明るい声でそう言った。


「そうなのかなぁ?」


時間制限はどんどん近づいてきている。


そんな中の1日はとても大切なはずだ。


「人に優しくできるのは、心が潤っている人じゃないとできないからね。今の蘭ちゃんは少し干からびてきてるから」


「あたしの心が干からびてるですって!?」


「だってそうだろ? 今の蘭ちゃんは色々な事がありすぎて心に余裕がないんだよ」


そう言われて、あたしはテンちゃんを睨むのをやめた。


その通りだった。


久志の事も、美鈴たちのことも、そして早苗のことも。


なんだか色々な事があって正直頭の中は混乱している。