へぇ、独り占めじゃなかったんだ。


そこは意外に感じられたけれど、美鈴のやることだ、真面なお金が入ってくるはずがないと思い直した。


なによりも、あたしは死ぬ前にAV女優になる予定はない。


「ねぇ久志。あんたも毎日お金を取られるよりも蘭と一回ヤッて終わった方がいいでしょう?」


美鈴が久志に甘ったるい声でそう聞いた。


やめてよそのぶりっ子。


全然似合ってないんだけど。


美鈴のぶりっ子を見た瞬間、朝ご飯が喉まで上がってきそうになる。


久志は青ざめた顔で、左右に首を振っている。


相変わらずあたしの後ろにいるけれど、昨日の喜怒哀楽はどうしたの。


こういう時こそ全身で怒るべきなのにと、ため息を吐き出す。


男子がいない今日くらいは頑張って欲しかったな。


じゃないと、あたしが消えた後の久志が心配だった。