その夜、あたしは今日の出来事をテンちゃんに話してきかせた。


イジメられた時の事を説明すると、テンちゃんはまるで自分のことのように苦しそうな表情になった。


「ね、見てこのアザ」


そう言ってパジャマをまくって青くなった腹部を見せると、今度は真っ赤になって顔をそらせるテンちゃん。


その様子がおかしくて笑ってしまう。


「蘭ちゃん、笑いごとじゃないんじゃないかな?」


「でも、イジメを助けろって言ったのはテンちゃんでしょ?」


「そうだけど……」


まさかここまでボロボロになって帰って来るとは思っていなかったのかもしれない。


テンちゃんは申し訳なさそうな顔をしている。


「大丈夫大丈夫、1度死んだ人間はそんなに弱くないからね」


そう言っても、テンちゃんの表情は晴れなかった。


もしかして、イジメの現場に突撃していくのではなく、大人の人を呼んで助けてもらった方がよかったんだろうかと、脳裏をかすめた。


いやいや、そんな事をしたら久志の親にすべてがバレてしまうだろう。