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それは予想していなかった出来事だった。


そして、彼等からしたら予想通りの出来事だったらしい。


あたしと久志は学校の屋上にいて、ドアの前で茫然と立ち尽くしていた。


さっきまで聞こえてきていた笑い声はもう遠くなって聞こえなくなっている。


「閉じ込められた」


あたしはため息と同時にそう言い、ドアの前に座り込んだ。


学校内へ入って来たあたしたちは、予定通り屋上へと向かったのだ。


するとなんのことはない、鍵が開いていたのだ。


『ほらね、行ってみなきゃわからないでしょ』


本当は予想外の出来事だったけれど、自信満々にそう言うあたし。


屋上へ出て真っ青な空を見上げ、気持ちよく深呼吸をしたのもつかの間だった。


ツンッとした刺激臭が漂っていることに気が付いたのは久志だった。


久志の顔が一瞬にして青ざめる。


匂いの元をたどって顔を巡らせてみると、貯水槽の影から正樹たちが出て来たのだ。


匂いの正体は彼等が吸っていたタバコだった。


久志はこの匂いを覚えていたから、瞬間的に青ざめていたようだ。