今日は大した授業なんてない。


午前中には帰れるし、元々出なくてもよかったんだ。


どうして学校なんかに来ちゃったんだろう。


あたしは今日校舎へ入るための重たいドアを押し開ける。


あまり使われない校舎は埃っぽくて顔をしかめる。


だけどここには彼女たちの話声も、男子たちのイジメも、黒板に書かれる文字もない。


それだけで心はおだやかになって行く。


薄暗い廊下を歩いて進んでいくと、戸が開けっ放しにされている教室があった。


中を覗いてみると、それは昔実験室に使われていた教室で、長方形のテーブルが並べられていた。


西側にあたる窓からは熱が入って来ないようで、少し涼しかった。


あたしは机に積もったホコリをティッシュで綺麗に拭き取ると、その上に寝転がり目を閉じたのだった。