それはいつもの日常の一コマだった。


あたしは1年C組の一番後ろの席に座っていて、左側の窓からは日差しを感じている。


薄いカーテンを引いていても、その熱はあたしの肌をジリジリと焼いている。


夏休み明けの教室は騒がしく、あたしの周りにも数人の数人の友人たちが集まってきて夏休みの出来事を熱心し話している。


あたしも、自分が夏休みになにをしていたのかと、適当に話す。


時々嘘を混ぜながら、ドラマチックに、盛り上がるようにひと夏の思い出を回想していく。


本当に、女子というのはいつからこんなに会話が得意になったのだろうか。


それはきっと独りきりにされたくないという恐怖が関係しているのだろう。


あたしは友人たちの話を右から左へと聞き流しながらそう考える。


トイレに行くのだって1人じゃ無理な女子たちは、どうにかして自分の居場所を作ろうとする。


一旦作れば、今度はそこからはじき出されまいと必死になる。


その結果、どうでもいい日常会話に色をたし、おもしろおかしく話す方法を身に着けるのだ。