奏でるものは~第4部 最終章~



着いたのは、有名な料亭。

両親は顔馴染みなのだろう。
料亭の前で車を下りると、店の人に車の鍵を渡して私達は料亭に入った。

「ようこそいらっしゃいませ」

「女将、娘の歌織です」


紹介してもらった。


「歌織です。今日はお世話になります」


良かった。笑えてる、とホッとする。


「まあ、かわいらしい。ようこそ」


両親と女将は話ながら奥へ進んで行くので、ついていくしかなかった。


「皆さまお揃いです」


女将がそっと襖を開け、父、母が入って行った部屋に、ふぅっと息を吐いて一歩入り頭を下げた。


頭は上げたが、目線を下げたまま空いている端の座布団に座った。