着いた先で待っていたのは、笑顔の昌さんだった。
「おはようございます」
「おはようございます。
歌織を華やかにお願いします」
「わかりました」
母はそれだけをにこやかに言うと、乗ってきた車で帰って行った。
「歌織ちゃん、どうぞ」
はぁ、と半回転させてくれた椅子に座った。
「鏡越しに久しぶりの再会ね。
よろしくお願いします」
「イメージある?」
「なんとでもしてください」
「じゃ、華やかに。
で、どーしたの?もしかして、お見合い?」
「………」
答えずにいた私を見て目を見開いた。
「え?マジ?優のやつ知ってるの?」
「内緒。ってか、私もさっきまで知らなかったのよ。
どうせ断るお見合いなんだから、どうでもいい」
「へぇ?」
「優さんにも言わないでよ?」
「分かったよ」
言いながら昌さんがニヤッと笑った。

