優人さんの表情も声も、笑顔が消えていた。 「そうよ。あなたが政略結婚するからって映画みたいに結婚式から連れ去ることはできないわ」 「じゃあ、お前にそんな話があったら、政略結婚するんだな?」 「そんなの、状況に寄るでしょ? 出来る限り拒否するわよ。 だから、言ってるじゃない。 個人的な事情で会社に迷惑をかけられないって」 「もういいよ」 「何がもういいのか分からない。 もう、帰るわ」 荷物を持って、部屋を出た。