着替えて化粧をして浴室を出ると、優人さんがコーヒーを淹れていた。
「飲む?」
「うん」
コーヒーを、受けとりソファに座った。
「結婚して、仕事に影響があるのか俺達には分からないだろ?」
「そうだけど、誰に何を聞けばいいのか分からない」
「でも、相談するしかないじゃないか」
「ダメって言われたら…」
「だったら、俺が仕事辞める」
「それは……無理でしょ?
結婚しない、っていう選択肢もあるんじゃない?
私は、仕事辞めたいとは思わない。
優人さんの仕事も辞めて欲しくない。
私達は違う会社だけど、経営者一族だわ。
たくさんの社員の生活を守るために勉強してきたことがたくさんあるわ。
その責任は、たまたまその家に生まれたからだけかもしれないけど、自分の都合だけで放り出してはいけないのよ」
優人さんが目を一瞬だけ見開いた。
「ハハ……歌織に説教されるとはな。
そんな自覚があるんだな。
だから、何もかも捨てるような結婚は出来ないってことか」

