優人さんの、いつもの別宅として使っているホテルに向かっていると気付いたのは、大きな交差点を過ぎた辺りだった。 「ホテルの優人さんの部屋に行くの?」 「今日は人混みが嫌で……」 やっと、会話になった。 「なんで?」 「……まあ、なんか疲れたんだよ」 「ふーん」 忙しかったのかな、と納得した。