奏でるものは~第4部 最終章~




ソファに座って、テレビをつける。
ニュースを見ながら、さっきの千奈美の言葉を考えていた。

私が如月に行く?
無理。
優人さんがサイタに来る?
あり得ない

ってことは、定年後に結婚?

自分で考えて、驚いた。


メンドクサイ


途中で買ってきた缶ビールをあけて一口飲み、考えをやめた。

優人さんがお風呂から出てきて、もう一本の缶ビールを渡す。


「乾杯前に飲んだ?」

「あら、ほんと、飲んじゃってるわ」

「アハハ…飲んじゃってるって、自分で飲んだだけだろ?」


隣に座って缶ビールを開けた優人さん。
寄り添って飲むビールは美味しかった。