奏でるものは~第4部 最終章~



目が覚めると、明け方だった。

サイドテーブルのペットボトルを取ろうと身体を起こす。


「歌織?」

優人さんが目を覚ました。

「起こした?」

水を一口のんで言うと、

「俺も…」

ペットボトルを渡すとゴクゴクと喉を鳴らして飲んだ。


「ねぇ、この部屋って?」

「このホテルはうちの会社がやってるから、いつでも俺が泊まれるようになってる。

仕事が詰まってるときは、家に帰らずここに泊まるよ。
4月の初めは忙しかったから、ここにいた。それからも時々。

でも歌織以外の女はつれてきたことないよ」

「ふーん?

でも、私が来たことがすぐばれるんじゃない?」

「あ、そうだよな?」

「ま、そうなったら、その時考えよう」

「逞しくなったな」


優人さんの頭をポカッと叩いた。


「やっぱり、今すぐ公言したい」


私の胸に抱きついて言う優人さん。
頭を撫でていると、胸をさわり始める。


「や、もう、これ以上は無理。
もう、起きようよ?」



「分かったよ。ほら」