奏でるものは~第4部 最終章~


料亭を出たのは8時過ぎ。

車で、幹線道路を走る。


もう、帰る時間が近づいている。


―――帰りたくない


雨はまだ降っていない。



「海が見たい」



前を見たまま言った。


「わかった」


お互い何も喋らなかった。



海が見える遊歩道に着いた。
車を下りると潮の香り。

遊覧船が泊まっているのが見える。
様々な明かりが、まだまだ夜の始まりと言っているような、明るさだった。