料亭を出たのは8時過ぎ。 車で、幹線道路を走る。 もう、帰る時間が近づいている。 ―――帰りたくない 雨はまだ降っていない。 「海が見たい」 前を見たまま言った。 「わかった」 お互い何も喋らなかった。 海が見える遊歩道に着いた。 車を下りると潮の香り。 遊覧船が泊まっているのが見える。 様々な明かりが、まだまだ夜の始まりと言っているような、明るさだった。