奏でるものは~第4部 最終章~



優人さんが座布団を二枚並べてその上に仰向けになり、腕を頭の下に入れて寝転ぶ。


「他には聞きたいことないの?」

「う…趣味?」


アハハハ…笑いだした優人さん。


「お見合いか?住んでるところに趣味って。
なんか、仕方なく聞いた、みたいな?」


「だって聞けって言うから…」


「分かったよ、趣味は仕事」

はぁ?

「…がんばってください」


「お前は?家は?」


「実家。ついでに趣味は音楽」


「ついでに、って、まだ聞いてないのに。
しかも、変わってないんだな、お前の趣味」


二人で笑った。


でも、趣味を覚えていてくれたことが、嬉しかった。


その後はテレビをつけて、喋りながらお茶を飲んだ。


のんびり寝転んだり、お茶を飲んだりとマイペースな優人さんに、触れてみたい、そんな気持ちが沸く。


本能で望む気持ちは、否定できない。
本当の気持ちだった。


ノックする音がしてドアが開いた。


「失礼します」


お店の人が料理を運んでくるが、どう見ても鍋物の準備。
手際よく机に並べられて、コンロに火をつけて去っていくと、さっきの女将さんが入ってきた。


「しゃぶしゃぶです」

といいながら、野菜を入れていく。

「沸騰したら………」

説明を聞きながら、鍋をじっとみる。

女将と優人さんが話しているのを笑顔で相槌をうちながら、世間話を聞いていた。


「今日はお酒はだめですよ?
では、ごゆっくり」


鍋が沸騰してから、肉を入れて引き上げる。
優人さんが同じことをしていたので、肉は自分の器に入れた。


「いただきます」


昼食が軽かったので、かなりの量を食べたが、優人さんはまだまだ食べていた。